猛者

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カチッとした敬礼をして、直ぐに気をつけの姿勢に戻った副官を見ながら、三善は手紙を差し出しながら、言った。 「これをH・A社の社長まで届けるんだ。なお、秘匿度はS、誰にも知られるな」 「了解、現刻1124より任務を開始致します」 笹鳴は手紙を受け取り、右利きの癖に右腕に巻いた軍用巻き時計の針を見て、任務を受託した。 「笹鳴、今、何時だと言った?」 三善は冷や汗を少々流し、やや身を乗り出して聞いた。 副官は表情一つ変えずに告げた。 「1124であります。なお、会議は本日1130より一階大会議場にて行われます」 三善は副官が告げた時刻に盛大にため息をつき、顔に手を当てた。 彼のモットー、それは七分前行動だ。
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