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「あ!おはよ♪
もうすぐ準備出来るから!待っ…」
『あー、わりぃ。
急用出来て無理になった…』
「え…」
『ゴメンな、彩希。
埋め合わせはまた今度するから』
電話越しなのに、彼の八の字になった眉が浮かんできて、怒るに怒れなかった私はまた自分を誤魔化して笑った。
「あ、ううん、気にしないで?
仕方ないよ、忙しいも……」
『ねぇー。ちょっと誰と電話してんの?』
『!ちょっ!ばかっ!』
『バカってアタシ?』
電話口から聞こえた甘ったるい声。
「…え?今の誰?
たっくん、もしかして‥」
その先を言う前に彼は大きなため息と煙草に火を着けるライターの音が私の言葉を遮った。
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