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「まずは風呂に入ってこい。長い間眠っていたんだ」
「あー、なんかよく分かんないけど案内して」
童話であったような気がする。眠りの森の美女とかいう題名の話し。
まさか、それを元にしたパラレルワールドじゃあるまい。
「仰せのままに」
だとしたら、かなり痛い子だ。
結局、男の名前も聞けないままゆりあは後ろをついていった。
「まぁ、姫様!目覚められたのですね!?」
「この日を待ち望んでおりました。」
長い長い、広い廊下で人とすれ違うたびに、うやうやしく頭を下げられ、似たような台詞を呟く。
「一体なんだよこの夢は……」
「着いたぞ」
無駄に歩かされた後、男はひとつの部屋に入った。
「な、なんだ、これ」
あまりの広さに驚いてしまう。風呂なんて言うから、小さなのをイメージしていたが、温泉並みだ。
だが、ひとつしかない。
「俺は部屋の外で待つ。ゆっくり入れ。服の代えも持ってこさせよう」
それだけ言って男は部屋から出ていってしまうし。
ゆりあが思いきって湯に入るまで約5分かかった。
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