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「まったくわかんねー。これ、理解力の問題じゃないだろ」
謁見の間では理解するどころか、ますます混乱した。
「まぁ、夢だって言ってたからなんとかなるんじゃない?」
「相馬は楽観的だな」
「焦って答えがでるなら焦るさ」
二人はとりあえず、ゆりあの自室だと言われた部屋にいた。
「それもそうか。つか、タクトー封印された地ってなんだ?そこに行けないの」
タクトが淹れてくれた紅茶を飲みながら、お菓子をつまむ。
「鏡の間だ。」
短く答え、タクトは琥珀色の液体を一口飲む。
いちいち様になっていて気にくわない。
現実の男だとかっこつけのナルシストになってしまうのだが、タクトは違う。
気品があって、動きそのものが洗練されている気がする。
こういう男は苦手だ。
性格は分からないが、見た目と中身が綺麗に一致する人。
「かがみ?なんでそんなもん」
「この世界に鏡は、鏡の間にしかない。鏡は自分を映すもの。どんなに隠そうとしていることでも現れる。だから、ひとつしかない」
「分からないしー、相馬は?」
助けを求めるように相馬に視線を投げかけるが、にこっと微笑まれた。
「俺も全然?」
がくりと肩の力が抜けた。
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