夢の始まりに

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「鏡は人にとって魔であり神でもある。それ故封じられていたが、お前たちが目覚めると共に開いた。今は厳重な警護がしてあるだろう。」 「連れてってよ」 紅茶のおかわりに、砂糖をふたつ溶かしながらゆりあがタクトに問い掛ける。 「今はできない。確固たる揺るぎない信念を持った時しか駄目だ。鏡に取り込まれる」 「あーもー、だから難しいっつってるだろ。ややこしいんだよ話しが」 タクトは眉間にシワを刻み、ゆりあを見る。 「ならば、ひとつだけ。お前達がこの世界に目覚めたことには意味がある。帰る為には鏡を壊せ」 二人は首をかしげた。 「確固たる意思をもって鏡を壊せってことか?」 タクトは頷く。 ゆりあは頭が更にこんがらがるのを感じた。 学年1の秀才相馬は何か気付いた様子で。 「帰りたいんだけど、壊しにいっちゃ駄目なの?」 「今は駄目だ。時が満ちていない」 その時はいつだと心の中だけでつっこむ。 「お前は、お前の心のままにあればいい。それがどんな選択でも、結末には従おう」 タクトは立ち上がり、部屋から出ていく。
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