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「夢……」
目覚めて、パジャマ姿を期待していたのだが。
レース天外が付いたお姫様みたいなベッドの中で寝ていた。
夢の中で夢を見るというのも変な話しだが。
頭がずきずきする。
「昨日のこと、やっぱ現実かよ」
ゆりあは身体をおこし、うんと伸びをする。
「……起きるか」
ベッド横に置いてある、呼び鈴を手に取る。
昨日、眠る前にタクトが置いていってくれたものだ。鳴らせば誰か城の者がくるからと教えてもらった。
数秒悩んだのち、思いきって鳴らしてみた。
「はい。お呼びですか?」
澄んだ鈴の音が響いて、すぐに声が聞こえた。
「お腹、減ったんだけど。あと服の代えってどこにある?」
現れた女性は優しく微笑んだ。
「姫は目覚めたばかりですものね。ご説明いたします」
「あと、外に出たいの」
「……外、ですか。分かりました。護衛をつけますがよろしいですか?」
護衛、とは。かなり物騒な響きだ。
「あー、できれば嫌なんだけど」
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