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「ちょっと、ゆりあ」
肩を突っつかれて、ゆりあは眠りから覚める。
「……んー?」
「もうすぐ昼休み終わるよ?次、体育だから着替えないと」
ごしごしと瞼をこすり、ゆりあは目を開く。
うららかな春の日差しは眠気を誘う。
気を抜くと、再び眠ってしまいそうだ。
「あー、悪い悪い。なんかめっちゃ眠くて」
「……わかるー。しかもお昼ご飯食べてからの体育とかさぼりたいし。眠いー」
「まぁ、」
何か夢を見ていた気がするけれど、思い出せない。
でも、悲しい夢だった。胸が苦しい。
「まーだ寝ぼけてるし。置いてくよ」
菜々が体操着を持って教室から出ていくのを、ゆりあは慌てて追った。
「あ、待ってよ」
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