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「夢だ……めちゃリアルな夢じゃん」
夢を見ることすらあまりないのに、更に夢に登場して姫だなんて。
夢は願望の現れとも聞いたことがあるが、自分にこんな願望があったのかと不思議になる。
目の前の青年は形の良い眉をひそめ、訝しい表情を浮かべていた。
「……あのさ、名前。名前教えてよ」
「名前?」
ゆりあは頷く。
「私の名前だよ。分かるでしょ?」
青年は訝しげな表情のまま、答える。
「変なことを尋ねるのだな。姫は姫だ。名などそれで十分だろう」
声は見た目より高く、透明感があった。
「は、はぁ?姫って誰が?」
「目の前のお前以外、この世界に姫は存在していないが?」
訳が分からない夢を見ているものだ。
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