ただの、気紛れで

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「…どうしたの?」 「李音、授業中ずっと澤希(さわき)くんの事見てたでしょ?」 「…さわき?」  私は玲の言った事が分からず、ただ聞き覚えのない名前を繰り返した。  すると、 「…あぁ、もう!澤希くんだよ、澤希 輝(てる)くん。一番窓側で、李音と同じ列の美少年!」  と、少し苛々とした様子で玲が叫び、私に詰め寄ってきた。 「ねぇ、ねぇ、どういう関係?李音がじっくり男子見てるなんて、珍しいじゃん」 「……あ、あの人澤希って言うんだ」 「そうそ……、って、そこから!?」  やっと玲の言う『澤希くん』が誰なのか分かり、一人納得しながら頷いていると、そんな私を見て、呆れたように声を上げた玲。  それを見て、つい、「ごめん」と言いながら笑ってしまった。 ――本当は、ただ、一々大袈裟な反応をする彼女に、苦笑してしまっただけなのだけど。
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