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その頃、ここの施設を指揮している男、コードネームは“ヴェネス”と呼ばれている。
この男はいそいそと逃げる準備をしていた。
「畜生ッ………
烏…あの男なら五分と持たん……
今のうちに逃げるしか――…」
その時、後ろから声が聞こえた。
「なんだ?アンタは逃げる気か?」
その声に反応し、後ろを振り向くと男が立っていた。
全身真っ黒の服でフードを深々と被っており、顔はよく見えない。
しかし、手や顎辺り……黒くてよくわからないが服にも付着したおびただしい量の血液が彼を進入者であることを告げていた。
「まぁ、別に情報を持ってないならいなくても問題無いけどな……
でも逃られるのは厄介、アンタ達を潰すのそんなに楽じゃないしね。
今後警戒されちゃたまんないよ。」
一見、無邪気な少年のような口調で話してはいたが、その言葉には妙な威圧があった。
「お、俺は何も情報なんか持ってねぇ!!
さ、最近だって何も動きなくて………
たッ…頼むッ!!
頼むから見逃してくれッ!!」
恐怖に駆られたヴェネスは震えながら叫んだ。
「聞こえなかったか?
逃げるのは駄目だ。
話して殺されるか……
今すぐ殺されるか……」
「た、頼むよ……
何も知ら――…」
言葉は途中で消えた。
既に首を落とされていたからだ。
「収穫は……無しか」
その時
“ピピッ”
その部屋に置いてあったPCにメールが一通届いたようだ。
男はメールを開き読みはじめた。
そして次の瞬間、血相を変えて飛び出して行った。
メールのにはこう書いてあった。
“港南区鹿谷にてマザーを確認。
画像を添付しているので確認して下さい。
マザーの捕獲を依頼します。
条件は生け虜り、多少の傷は生きていれば問題ありません。
期限は三日です。”
そして、ある少女の画像が一枚添付されていた。
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