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「知ってるわ」
美少女… 響子さんが、さらりとこともなげに言って。
視線を落とした。
睫毛が… 長い。
「父は以前、ここに住んでいた。
長山さんと一緒にね。
長山さんは亡くなり… 父はこの家を出た」
何がなんだか、ぜんぜんわからない。
「あの、あなたは…
市川先生の、お嬢さんなのよね?」
あたしは先生のプライベートなことを、何も知らない。
あまり自分のことを話さない人だった。
聞き上手で、あたしの話はよく聞いてくれたけど…
いつもレッスン中は、ピアノのことだけを、夢みるように話してくれる先生だった。
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