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*有×知の場合
title:不機嫌に効く薬
「むぅぅぅっ!!」
不機嫌です。
僕今とっても不機嫌です。
その原因は斜め前の席に座る奴のせい。
「大ちゃんってさ~」
「えぇ、そんなことないよ」
前の席に座る女子と仲良さそうに喋ってる。
あぁっ、気安く大ちゃんなんて呼んでるし!!
しかもなんなの、あの満面の笑み。
許せない!!
僕より可愛い子なんていないはずなのに、あんなバリバリ化粧娘に負けるなんて。
ムカつく、有り得ないっ!!
「負のオーラを感じる……」
「黙れっ!!」
「こ、怖い……」
とにかく僕は不機嫌なのです。
隣の人に黒いオーラを感じられても何も思えないくらい不機嫌なのです。
「知念!!お昼食べよ」
休み時間何も知らない大ちゃんがパンを片手に僕の席に来た。
もちろん無視っ!!
授業中もあの意味分かんない女の声が頭にこびりついて集中出来なかったんだから。
全部全部大ちゃんのせい。
「知念……?」
「今日委員会あるから」
と言って席から立ち上がる。
我慢出来ない。
このままじゃ大ちゃんを許しちゃいそうで……
そのまま来たのは図書館。
何人かが勉強したり本を読んだり寝たりしている。
無駄に広い図書館の一番隅っこに座って目の前の本に手を伸ばす。
興味はなかったけど気を紛らすにはちょうどよかったから。
「嫉妬深いと嫌われる……」
本の一節。
僕が手を伸ばした本はどうやらエッセイのようだ。
そこにでかでかとそう書かれていた。
僕のこの気持ちも嫉妬?
あんな僕の足元にも及ばないクズみたいな女に嫉妬してんの?
違うよそんなんじゃ。
ただ……ムカついただけ。
イライラしただけでこれは嫉妬とは別の類いの感情!!
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