◆禁忌

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section1... ジャー。 シャワーの音がお風呂中に反響して滴が飛ぶ。 手や腹には目を覆いたくなるほどの青黒い痣が幾つもある。 でも僕はあいつに抱かれなきゃいけない。 大好きで大嫌いなあいつに。 絶対に恋しちゃいけないあいつに……。 キュッ。 シャワーを止める。 鏡越しに僕を見る。 よし、目は腫れていない。 良かった。 泣いてるなんて知られたら、また酷いことをされるに決まってるもん。 お風呂場から出ようとすると、声が聞こえた。 「おいっ、いつまでシャワー浴びてんだよ!お前は女か!!」 「ご、ごめんなさい……」 聞こえるか聞こえないかのか細い声で返事をすると 「早くしろ」 とだけ言って彼は出ていった。 僕はもう一度だけ鏡で全身をチェックしてお風呂場から出る。 脱水所には布きれみたいに薄いTシャツと体操服ズボンが置かれていた。 「どうせ脱ぐんだし、いっか」 そう言って半ば諦めの気持ちで用意された服を着る。 タオルで濡れた髪を拭く。 脱水所から出ると彼がクーラーの効いた涼しげな部屋でベッドサイドに座っている。 黒いモノトーンの家具しかない、整理された部屋。
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