chapter.23 彼女と僕の文化祭②

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「…………」 1人は青みがかった艶のある黒髪を腰まで伸ばした、知らない人が見れば小学生にしか見えないこと間違いないくらいに身体が小さな口数の少ない女の子の桜である。 桜のすぐ近くには桜と凄くよく似た容姿をした三つ子の姉である牡丹と椿とそして、無駄に可愛く無駄に人を苛立たせ、なおかつ腕っぷしまで立つ菖蒲もいた。 つまり、いつものメンバーである。 が、そこにはイレギュラーな存在の姿もあった。 僕の旧友であり、かつ、トラウマの原因でもある、先日僕が通う学校に転校してきた蓮花とその友達である御杖 桔梗さんである。 「あ、ご主人様。えらく遅いじゃないですか。何をしてやがったんです?」 そんな集まりの中の1人、トラブルメイカーの名を欲しいままにする(僕調べ)菖蒲が口を開いた。 「……ちょっと、なに?ご主人様ってどういうこと?晋とどんな関係な訳?」 と、不機嫌そうな表情を浮かべて菖蒲を睨めつけながら低い声をあげたのは蓮花だった。 「ふふっ。私達の関係を何故貴女に教えて差し上げないといけないのですかねぇ?それとも、貴女に関係するのですか?だって貴女、誰にも愛されない、そう感じるのは勘違いで迷惑とご主人様におっしゃったんでしょう?なら、全く何の関係もありませんよねぇ?」 菖蒲は睨め付けてくる蓮花に対し、よく桜たちに見せていたあの、心底人を小馬鹿にしたような笑顔を見せてそう返す。 いつも無口な桜に加え、その姉妹の椿、牡丹そして、蓮花の友達であろう御杖さんは無言で2人を見ていた。
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