chapter.2 学校で

4/17
前へ
/1000ページ
次へ
入ってきた昨日の女の子、山添さんは、相変わらずの無表情&無言で黒板の前に立つ。 そして大きくない字で黒板に、 山添 桜 と、自分の名前を書いた。 書き終えた山添さんは、やはり無言で無表情のまま、クラスのみんなに向けてペコリと頭を下げたのである。 「かわいいっ」 教室のあちこちからそんな声が聞こえてくるが、当の山添さんは全く気にしている様子は全く見えない。 と、言うより、相変わらずの無表情なのであった。 「えーっと、山添さんの席はどこがいいかな……」 そんな山添さんの席をどうするか、ヅラ先生が教室を見回しながら考える。 「はいはい。俺の隣ーっ」 「わたしのとなりがいいと思います」 教室のみんなが口々にそんな事を言う中、当の山添さんはつかつかと黙って歩き出した。 そして、僕の横に来てまたしても、ギュッと僕の腕を掴むのだった。
/1000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7362人が本棚に入れています
本棚に追加