chapter.1 出会い

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左はじのボタンを指差しながら尋ねる。 「これ?」 「…………」 ふるふる……と、無言で首を横に振り、返事をする女の子。 「これ?」 ふるふる。 「これ?」 ふるふる。 こんなやり取りを続け、ついに右はじまでやってきた。 「……一応聞くけど、これ?」 こくっ、と頷く女の子。 …………言えよ。 いや、言わなくても伝えられただろ。 まぁ、なんか可愛かったからいいか。 女の子が指定した砂糖たっぷりのカフェオレのボタンを押し、出てきた缶を女の子に手渡す。 「はい」 女の子は僕の顔を見ながら、小さな手でそれを受け取った。 「じゃあ、僕はもう行くね」 女の子にそう告げると、またもや腕をギュッと掴んできた。 「どうしたの?」 僕の問いかけに彼女は黙って申し訳なさそうにカフェオレを見せてきたのである。
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