chapter.1 出会い

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そうして僕と彼女は近くのベンチに腰を下ろした。 彼女の手には、『甘さ抜群!!とりあえず甘い』と書かれた缶コーヒーが握られている。 ちなみに、プルタブも僕が開けてあげた訳だが。 そんな缶コーヒーを両手で持ち、ちょびちょびと飲む彼女は、なんか小動物みたいで可愛い。 無表情な上、言葉を中々発してくれない為に感情を掴みにくいが、小さな手で缶を握りしめているところを見ると、どうやら美味しいらしい。 そんな彼女はしばらくの間、ちょびちょびと飲んでいた缶コーヒーを僕に差し出してきた。 「…………」 またも無言で僕の顔をじっと見つめながら。 「くれるの?」 そう言えば半分こって言ってたなと思いつつ僕が尋ねると、彼女はこくりと頷いた。 「ありがと」 そう言って缶コーヒーを彼女の小さな手から受けとる時、彼女はほんの少しだけ笑顔になった気がする。 ほんのちょっとの表情の変化で、しかも一瞬だったので見間違いかも知れないが、僕にはそう見えた。 さて、渡された缶コーヒーだが、さっきまで彼女が飲んでいたので、僕は飲んでもいいものかと少し戸惑ってしまう。 缶コーヒーを受け取ったものの、中々口を着けない僕を彼女はまた無言で見つめている。 間接キスとか嫌じゃないのかな? なんて事を気にしているのは僕だけか。 僕が口を着けた物を彼女が飲む訳でもないし。 なんか彼女に無言で早く飲んでって言われてる気もする。 「いただきます」 僕は無言で見つめる彼女にそう言ってから、缶コーヒーに口を着けた。
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