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「天照は聞き出すための道具ってわけか?」
高杉は静かに首肯した。
真相を聞き出すためだけに天照を手に入れようとするなんて、些かやり過ぎだと思うが、それは俺が事の重大さを理解していないからかもしれない。
つまり、今の俺にはその程度の理解しかないということだ。
これは高杉を瀧川源蔵の屋敷に連れて行ったときに聞く必要がありそうだな。
「聞きてぇことはこれだけか?」
「いや、まだだ。最後に聞かせろ」
「あん?」
「お前とJは繋がってるのか?」
さっきは仲間なのかと聞いたが、ここまで話を聞いて仲間ではないと推測できた。ならば、繋がってるのかと聞くのが妥当だ。
「連れて来たわよー!」
扉の前に紫音とJが立っている。
紫音は小走りでこっち近付いてきて、Jはゆっくりと歩きながら向かっている。相変わらずの偽りスマイルにイラっとするけど、運が良かったな。今はそんな気力はない。
「繋がっている。だが、敵とか取引相手とかそんな生温い関係じゃない。お互いがお互いを利用しようとし、あわよくば殺してやろうって関係だ。テメェと同じように使い勝手のいい駒にしたかったが、無理だった。記憶がねぇのが幸いってところだ」
高杉は近付いてくるJを忌々しそうに見ている。
「俺からの忠告だ」
「忠告?」
「Jとは関わるな」
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