“プロローグ”

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「立花蓮次が死んだ」 その報せを訊いて僕は頭の中が真っ白になってしまった。 隣にいた茜さんは受け入れるのが早かったのか、すぐに泣き崩れてしまった。圭太さんは最初僕と同じように立ち尽くしていたけど、泣き崩れた茜さんの肩を抱いて、そのあと悔しそうに涙を浮かべてしまった。 僕は……僕は……泣くことができない。 泣いてしまったら蓮次さんの死を受け入れることになるから、泣きたくても泣けなかった。 だから僕は思う。 蓮次さんは絶対に生きている。あの人が死ぬはずがないって―― それを信じて目の前にいる紫音さんに頭を下げてこう懇願した。 「僕を強くして下さい」 ――と、
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