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さっきも言ったように俺はまだコイツの本心を聞いていない。本当に日本だけじゃなくて世界を混乱させようとするのが目的ならば、こんなまどろっこしいことはしない筈だ。
「言っただろ。つまんねぇ世の中を面白くするためだ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ」
「それは建前だろうが。テメェが何か隠してることぐらい俺にでもわかる。お前が持っている戦力を一気にブチ込めば俺達は確実に負けていた。けど、それをしなかった理由を聞いている」
「…………」
高杉はバツの悪そうな顔をしている。どうやら俺の予想は当たっていたようだ。
でも、コイツはプライドの塊だ。
それを話した時点で完全に負けを認めたことになる。自分達で調べる必要があるか……。
「…………ためだ」
「えっ?」
「だから、ジジイ達の動向を探るためだ」
まさかのまさか。
高杉が理由を話し始めた。最初を小声で喋ったのは、せめてもの抵抗だろう。
繊細過ぎて笑える。
にしても、ジジイ達ってのは――
「瀧川源蔵のことか?」
「ああ。あと、柳生と三島のジジイだ。年寄りが集まって何をするか知らねぇが、柳生と三島のジジイが何かをするってなれば、かなりの大事になる」
「三島って誰だ?」
「三島宗一郎。瀧川源蔵の屋敷の執事だ。アイツも元殺し屋。しかも元ブラックランクで〔臥龍〕と呼ばれていた。殺し屋になる前からとんでもねぇ経歴を持った化け物みてぇな奴だ」
ああ、あの執事か。
確かに雰囲気から只者じゃないとは思っていたけど、まさか元ブラックランクとはな。
「それで、瀧川源蔵は柳生と三島の爺さんを使って何をしようとしてたんだ?」
「知るか。アイツの部下だった頃から、探っても何も出てきやしねぇ。だから、テメェ等をアイツ等と接触させて真相を聞き出そうとしが、それも無理だった」
一体、何をしようしてるんだ?
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