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有り難い忠告かと思いきや、俺が普段から願っていることを忠告風に言われただけだった。関わりたくないのは山々だが、何処で何をしてもアイツは関わってくる。
俺が避けていても、あっちから来られたら避けようがない。
「何のお話をされているのですか?」
いつの間にかJが後ろに立っていた。
わざわざ肉体強化の第六感を使ってこっちまで来たのか?
「別に。お前と関わりたくないって話をしていただけだ」
正直に言ってやった。
こう言うことを遠慮なく言えるのは、それはそれでいい関係なのかもしれない。
補足。敵として。
「私としましては困りますね。至らない点があるのでしたら改善しますので教えていただけませんか?」
「もう手遅れだよ。改善は不可能だ」
記憶がなくなってもこの性格なんだから、誰が何を言おうと変わるわけがない。馬鹿もそうだけど、こういう奴も一度死ななきゃ直らんだろう。
「話はこの辺で終わりにして、さっさとここから出るぞ。……痛っ!」
どうしようか、立ち上がろうにも立ち上がれない。
「蓮次、大丈夫!? 肩貸そうか?」
この体格差じゃどう考えても無理だろ。
「ありがとう紫音。気持ちだけもらっとくよ」
――とは言ったものの。
どうやってここから出ようか。這いながら出ようにも、幾つか階段があったからな。
どうしようかと悩んでいると入り口付近に見慣れたデカい男が立っていた。
「あまりに遅いんでな。迎えに来たぞ」
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