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何年前だったんだろうか…
初めて、沙夜と出会ったのはー
ああ、そうか
あの時に、俺がー
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「ひっく…ひっく…」
「どーしたのー?
なんでないてるの?」
泣いて座っている少年の前に、黒髪の少女が不思議そうに、そう聞かれた。
少年は、まさか少女に聞かれているとは思わなく、瞳に溜めていたものを服の裾でゴシゴシと拭いた。
「……おまえだれだよ…」
「わたし?
わたしはね、さやってよぶんだよ!!
あなたは?」
「………ぅ…」
「?」
少年はもごもごしながら俯いていた。
沙弥は少年の言葉が聞き取れなくて、きょとんとしていた。
そんな沙弥を見た少年は、声を震わせながらそう言う。
「……ゆう…
かいばゆう…
ゆうだよ!!!」
「ゆうくん?
じゃあ、さっきなんで、ないてたの?
どこかいたいの?」
「…おかぁさんとおとぅさんが、しごとであそんでくれないから」
「なぁーんだ。
そういうことかー」
沙弥は陽気そうに答える。そんな沙弥に対して悠はムッとした。
沙弥は悠の手を引きながらどこか連れていった。
悠は不思議そうに、沙弥に聞いてみる。
すると、沙弥も不思議に悠を見つめる。
「さやとゆうとあそぶんだよ?
ゆうといっしょにあそぼ?」
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