8人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして?」
悠は聞かずにはいられなかった。
沙弥は屈託の無い笑顔で、
「ともだちだからっ!!」
悠は沙弥に押され、思わず頷いてしまった。
***********
そう…あの日は―
沙弥と初めて出会った日
初めて友達が出来た日
そして君に淡い恋心を抱いた日
あの屈託の無い笑顔に惚れてしまったんだろう。
沙弥の事が好きだった。
年齢を重ねる度、その恋心は少しずつ確実なものになっていた。
俺は、沙弥の笑顔が何よりも好きだった。
だから、好きだということを言わなかった。
友達という関係が崩れてしまい、沙弥の笑顔を見れなくなることが、何よりも怖かった。
だから、何年も自分を殺し、沙弥の良き友人として演じ続けて来た。
しかし、ある事件が起きた。
親父が事故ってしまった事。
そして、その事故のせいで沙弥の両親が死んでしまった事。
親父は罰せられるはずだった。
事故を起こし、二人を死なせてしまったからだ。
なのに、親父は灰馬一族の泥を塗りたくなくて、金と権力を使い沙弥の両親が無理心中し、運よく、娘の沙弥だけが生き残ったという風に書き換えやがったんだ。
後に、それを知らされる嵌めになった。
最初のコメントを投稿しよう!