プロローグ

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「どうして?」 悠は聞かずにはいられなかった。 沙弥は屈託の無い笑顔で、 「ともだちだからっ!!」 悠は沙弥に押され、思わず頷いてしまった。 *********** そう…あの日は― 沙弥と初めて出会った日 初めて友達が出来た日 そして君に淡い恋心を抱いた日 あの屈託の無い笑顔に惚れてしまったんだろう。 沙弥の事が好きだった。 年齢を重ねる度、その恋心は少しずつ確実なものになっていた。 俺は、沙弥の笑顔が何よりも好きだった。 だから、好きだということを言わなかった。 友達という関係が崩れてしまい、沙弥の笑顔を見れなくなることが、何よりも怖かった。 だから、何年も自分を殺し、沙弥の良き友人として演じ続けて来た。 しかし、ある事件が起きた。 親父が事故ってしまった事。 そして、その事故のせいで沙弥の両親が死んでしまった事。 親父は罰せられるはずだった。 事故を起こし、二人を死なせてしまったからだ。 なのに、親父は灰馬一族の泥を塗りたくなくて、金と権力を使い沙弥の両親が無理心中し、運よく、娘の沙弥だけが生き残ったという風に書き換えやがったんだ。 後に、それを知らされる嵌めになった。
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