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沙弥の両親の葬式には、当時仲が良かった俺にもいった。
沙弥はまだ、幼い。
そう、まだ幼かった沙弥は、両親の死を受け入れなく、声をあげ泣いていた。
普通ならば、親戚や縁があった人が慰める筈だがそうしなかった。
そいつらは、誰が沙弥を引き取るのかや残された遺産は誰が相続するのかとぎゃあぎゃあ五月蝿かった。
俺は、直ぐ飛んで慰めたかったが、親父に睨まれ、もう二度と関わるなという威圧感に押され、そのまま従うしかなかった。
それから数日後に、沙弥は遠くの所へ行くと知らされた。
俺は、もう一度沙弥と会いたかった。
沙弥に「好き」だという言葉をどうしても伝えたかった。
だから、家の人に気付かれずに抜け出して沙弥が居るところまで走って沙弥を探した。
何処にも居なくて、「沙弥ーーーー!!」と叫んだが声が返って来ることはなく、ただ、静かだった。
俺は、もう沙弥と会えないと思い泣いた。
鼻水も垂らしながら顔がぐちゃぐちゃになりがらも、
それに構わず泣いた。
泣き声しか聞こえない
音は、耳から聞こえるのはそれしかないのに他の音が聞こえ、視界がぼんやりしてくる。
それは、何なのかは次の瞬間で理解することが出来た。
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