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その二人が子供にした事は…………。
子供はじっと堪えていた。
涙も見せず、諦めとも取れる表情で、ただ二人が自分にする仕打ちを受け入れていたのだ。
それは自身の鬱憤を晴らし、欲望を満たす為の行為。子供をまるで物のように扱うだけの行為。
しかし、私にはその子供の感情が流れ込み、そしてまた悲鳴を上げていた。
「……ぁぁあああ!!!」
「きゃあああああ!!?」
私の叫び声と女の悲鳴が同時に上がる。
目を見開くと、漸くはっきりとし始めた頭に、夢の中の子供が映った。子供は私の目の前に立ち、先生と女の方を向いている。ただその姿は透けていて、子供の背中から向こうの様子も見て取れた。
女はそれを見て悲鳴を上げたのだ。
先生も、恐怖に引き攣った顔で子供を見ている。
子供が二人の方に近づいていく。
二人は金縛りにあったかのように、動かなくなっていた。
声が聞こえた。
「待っていたの。ずっと、待っていた。父さん、母さん……」
哀しみに満ちた、それでも赦しの含んだ声だった。
そして、愛情の感じる声。
この子供はあんな事をされても、彼らを愛しているのだ……。
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