こども

7/8
前へ
/8ページ
次へ
その二人が子供にした事は…………。 子供はじっと堪えていた。 涙も見せず、諦めとも取れる表情で、ただ二人が自分にする仕打ちを受け入れていたのだ。 それは自身の鬱憤を晴らし、欲望を満たす為の行為。子供をまるで物のように扱うだけの行為。 しかし、私にはその子供の感情が流れ込み、そしてまた悲鳴を上げていた。 「……ぁぁあああ!!!」 「きゃあああああ!!?」 私の叫び声と女の悲鳴が同時に上がる。 目を見開くと、漸くはっきりとし始めた頭に、夢の中の子供が映った。子供は私の目の前に立ち、先生と女の方を向いている。ただその姿は透けていて、子供の背中から向こうの様子も見て取れた。 女はそれを見て悲鳴を上げたのだ。 先生も、恐怖に引き攣った顔で子供を見ている。 子供が二人の方に近づいていく。 二人は金縛りにあったかのように、動かなくなっていた。 声が聞こえた。 「待っていたの。ずっと、待っていた。父さん、母さん……」 哀しみに満ちた、それでも赦しの含んだ声だった。 そして、愛情の感じる声。 この子供はあんな事をされても、彼らを愛しているのだ……。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加