第二章

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 後藤が区立病院を訪ねるのは、約一週間ぶりのことであった。 大学が終わった後、彼は、バスに乗って、区立病院へと向かった。 廊下を歩いていると、看護師が急ぎ足で彼の横を通り過ぎて行った。 ハイヒールの音が、コツコツと鳴り響いていた。 廊下の真ん中あたりで、彼は足を止めた。 ドアの横に掛けられたプレートには、患者の名前が数人書いてある。 その一人が、緒形の母親、緒形亜希子だった。
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