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警察は、徐々に捜索範囲を拡げていった。
阪井も事情聴収の為、東奔西走していた。
「それでは、その時間に何か変わったことはありませんでしたか?」
阪井が事情聴収を進めていると、携帯の着信音が鳴った。
「ちょっと失礼します」
そう断ると、彼は懐に手を突っ込み、携帯電話を取り出した。
後輩の、山岡という刑事からだった。
「もしもし、調子はどうですか?」
「ああ、今のところは犯人に関する重大な証言は得られていない」
「そうですか。それで用件ですが、被害者の父親から話を聞く許可が取れたので、現場に戻ってきていただけますか」
「ああ、分かった。すぐに行く」
そう言ってから、彼は電話を切った。
腕時計を見ると、午前10持を少し過ぎたところだった。
「すみません。急な用事が入ったので、失礼します。お忙しい中、ありがとうございました」
先程まで話を聞いていた中年女性に頭を下げた。
「いえいえ・・・。犯人、早く判るといいですね」
女性は言った。
「ええ、全力を尽くします」
そう言ってから、彼は走り出した。
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