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山岡は、マンションの入り口で待っていた。
「お疲れ様です。お待ちしておりました」
「ご苦労さん。じゃあ、行こうか」
「はい、こちらです」
マンションから歩いて10分ほどのところに、その家はあった。
2階建ての一戸建てで、壁はクリーム色だった。
山岡が門の前に立ち、チャイムを鳴らした。
すると、十数秒後に家のドアが開き、一人の男が姿を現した。
「こんにちは、度々申し訳ございません。先日お邪魔した、山岡です。今回は、事件のことについてお話を伺いたく、参ったのですが」
「ああ、お待ちしておりました。どうぞ」
そう言って彼は、門をを大きく開けた。
「ところで、そちらの方は?」
阪井の方を見ながら、その男は言った。
阪井は、一歩前に出た。
「はじめまして、阪井と申します。この度は、誠にお気の毒なことで・・・。一刻も早く犯人を逮捕するため、お力添えいただけますか?」
男は、大きく頷くと、
「もちろんです。犯人が捕まるのであれば、私は何でもするつもりですから」
と言った。
「そうですか。ありがとうございます」
阪井は、丁寧に頭を下げた。
山岡も、それに倣って頭を下げた。
「さあ、入ってください。何か暖かい飲み物でもお出ししましょう。今日は一段と冷えますからね」
そう言った男の目は、赤くなっていた。
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