第三章

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 後藤は、ぼんやりと大学の授業を受けていた。 ノートを取るペンは動き続けているのに、授業の内容が全く頭に入ってこない。 ふと、腕時計を見た。 時刻は、午前10時半を示していた。 なぜか、時間の経過がいつもより遅く感じられた。 昼休みに、澤田と二人で食堂へ行った。 後藤の通っている大学の食堂は、カフェテリア方式を採っていた。 精算を終えると、後藤は澤田の隣の席に座った。 「あれ?今日は少ないな」 後藤のランチプレートを見て、澤田は言った。 ランチプレートには、白飯と唐揚げ、温野菜がよそってあるだけだった。 「ああ、今日はあんまり食欲が無くてな」 「そうか」 ぼそりと言うと、澤田は料理に箸を付けた。
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