第三章

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 男は、緒形誠人と名乗った。 「それでは、事件が起こった日の出来事について話していただけますか」 まず、山岡が切り出した。 「あの日の朝、病院から電話があったんです。実は、私の妻は胃癌を患っておりまして。それで、容態が急変したと聞いたんです」 「それで、病院に行かれたんですね」 「はい。でも、その前に征司にも電話しました」 「そうですか。お二人で病院に行かれたということですね」 「そういうことです」 そう言うと、誠人は茶を一口飲んだ。 「それで、奥様の容態は回復されたのですか」 「ええ、午後3時半頃には、会話ができるくらいに回復しました」 「では、帰宅されたのは何時でしたか」 「ええと、4時ぐらいだったと思います」 「そうですか」 「それでは、最近、征司君に何か変わったことはありませんでしたか?ほんの些細なことでもいいんです」 続けて、阪井が訊いた。 「変わったところは・・・無かったと思います」 少し考えてから、誠人は言った。
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