第三章

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 「そうですか。それでは、征司君が大学で、問題を起こしたり、うまくいかなかったことがあったりはしませんでしたか」 阪井は、続けて訊いた。 誠人は、うーん、と唸ると、 「私自身、征司と大学のことで話をする機会は殆どないですからね。よく分かりません」 「そういえば、征司君は一人暮らしをされていましたね。いつから一人暮らしを始めたんですか?」             「大学に入ってからです。征司が高校3年生の時、『大学に入ったら、一人暮らしをはじめたい』って言ってきたんです」 「そうだったんですか。それで、あなたは承諾したんですね?」 「最初は反対しました。一人暮らしにはお金がかかりますからね。でも、征司は『金なら俺がバイトで稼ぐから』と言って、一歩も譲りませんでした。だから、最終的には承諾しました」
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