第一章

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 少年漫画のコーナーは、ほとんどが立ち読みをする男子中学生で埋め尽くされていた。 だから、目的の人物を探すのに、手間はかからなかった。       「よ、待たせたな」 そう声をかけると、その人物は顔を上げて、 「おう、来たか。待ってたぞ」と言った。 彼は、同級生の緒形征司である。 二人が待ち合わせをするのは、 いつも、この書店と決まっている。 その理由は簡単で、待っている間立ち読みができるから、ということらしい。 「それじゃあ、いくか?」 後藤が促した。 「ああ、そうしよう」 読んでいた漫画を本棚に戻しながら、緒形は言った。
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