第三章

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 後藤が練習を始めて20分ほど経過した頃、弓道場が騒がしくなった。 後藤は弓を引いている最中だったが、気になったので、周りを見渡してみた。 すると、入り口に、スーツを着た二人の男が立っているのが目に入った。 彼らは紛れもなく、一昨日、後藤に対して事情聴収を行った刑事であった。 刑事らは、一人の部員と何か話していた。 その様子を見ていると、部員が後藤の方を向いた。 その部員は、後藤に向かって手を差し出した。 後藤はドキッとした。 彼らはまた、自分に話を聞きに来たのだろうと悟った。 そして、面倒だな、と思った。 後藤は気づいていないふりをして、練習に戻った。 しかし、刑事のことが気になって、練習にならなかった。
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