11人が本棚に入れています
本棚に追加
「後藤君、ちょっとこっちに来てくれるかい?」
呼びかけてきたのは、ブラウンのダウンジャケットを着た刑事だった。
「はい、分かりました」
そう言うと後藤は、弓を壁際に立てかけた。
それから、刑事の後について、弓道場を出ようとした。
「ちょっと待ってください。後藤に何の用があるんですか?」
振り返ると、藤本が立っていた。
「緒形征司君が殺された事件について、少し話を聞くだけだよ。すぐに終わるから」
そう言ったのは、もう一人の刑事だった。
「そうですか。分かりました」
藤本は一礼すると、練習に戻ろうとした。
その時、二人の刑事がひそひそと話を始めた。
そして、ブラウンのジャケットを着た刑事は、藤本の背中に向かってこう言った。
「ちょっと待ってくれるかい?君にも、話を聞かせてほしい」
最初のコメントを投稿しよう!