第四章

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 その後、藤本を練習に帰すと、今度は後藤に話を訊いた。 「マンションに住んでいる人の話によると、近くで、黒いパーカーを着た怪しい男を見たという証言があるんだけど、見覚えはない?」 阪井は、手帳を見ながら言った。 「いいえ、見ませんでした」 「じゃあ、緒形君は何か部活に入ってた?」 いきなり、事件と関係のなさそうな事を訊かれたので、後藤は呆気にとられた。 「いいえ、入ってなかったです。あいつは将来、大学院に進学したいらしくて、勉強が忙しかったんです」 「なるほど。成績も優秀だったんだろうね」 「はい。あいつは、同級生からいつも頼りにされていました。・・・あの、そろそろ練習に戻ってもいいですか?もうすぐ、試合が控えているので」 「ああ、忙しい中、ありがとう。もう戻っていいよ」 手帳を閉じながら、阪井は言った。 後藤は一礼すると、練習に戻っていった。
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