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「いつも笑顔で、私のことを気に掛けてくださいます。でも、息子さんが亡くなられたことを知った時、ずっと、枕に顔をうずめて泣いておられました」
老婆は、悲しげな表情で語っていた。
まるで、故人を懐かしんでいるようだと阪井は思った。
暫くすると、入り口のドアを開いて亜希子が入ってきた。
彼女は、阪井らの方見ると、頭を下げた。
そして、ベッドの方へ歩み寄った。
阪井は、いつものように名乗った。
「この度は誠にお気の毒なことで・・・お悔やみ申し上げます」
そう言って、彼は頭を下げた。
「それで、征司の事を訊きにいらしたんですね?」
頭の上で、亜希子の声がした。
阪井は、頭を上げた。
「はい。申し訳ございませんが、犯人特定の為、ご協力をお願いいたします」
そう言うと、阪井はもう一度頭を下げた。
「分かりました。何から話せばいいですか?」
亜希子は、ベッドに腰掛けながら言った。
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