ブラックプリンセス～番外編～

いち

ゆきのの胸は、高鳴っていた。

(声かけようかな…。)

しかし、勇気が出ない。

桜の木の下のセインを見てゆきのは、あまりにも美しくてセインに見惚れてしまっていて、自分が話し掛けたら、美しさを潰してしまいそうな気がしたから。

ゆきのは、多分ボーッとしていたのだろう。

ゆきのは、セインがこちらに向かってくるのに気がつかなかった。