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「なぁ、主」
迷子生活六日目。
グランディスと知り合って、二日目の昼。
手かがりはいっこうに見つからないのに対して、時間だけはどんどん過ぎていく。
昼食の木の実をかじり食べる時間に、俺と同じ迷子であるグランディスが口を開いてきた。
「なんだよ」
食べ飽きた不味い味に顔をしかめながら、顔だけを向けてグランディスを見た。
彼女も俺と同じように、同じ不味い味の木の実を食べているというのに、顔にそれを表す表情は一切出ない。
「何も分からずにもう二日ぐらいかの? 主ももうそろそろ飽きが来る頃じゃないかえ?」
「……飽きって何にだよ」
「この清らかな乙女に対してじゃ」
「どこに清らかな乙女がいるってんだよ。それに、その言い方はまるで俺が女の子を取っちゃ捨てるみたいな性悪みたいになるから止めろ」
二日目の現在、相も変わらずコイツの思考が理解できない。
常時下ネタで会話を振ってくるくせに、下ネタを振る清らかな乙女ってなんなんだよ。
コイツの長所っておっぱいしかないんじゃないのか?
「見よ、このはちきれそうなおっぱいを!」
「清らかな乙女はそんなたわわな実を強調して見せつけたりしねーよ!」
マジやめろ。そんなしゃがみ込むような体制で谷間を見せつけるな。
目が眼福すぎる。
「だいたいお前は毎度毎度、呼吸をするかのように下ネタを言い過ぎだ。せっかくの美人なのに、その発言で全てを台無しにしてるぞ」
「そんなものでは我が美しさが損なわれぬ。我が美しさを台無しにしたければそのさらに三倍の下ネタを持ってこいというものじゃ」
「なに平然と世界観にそぐあわないネタ持ち出してんだよお前は!? それにそれは下ネタじゃなくてこの世の全ての悪だろ! お前の三倍の下ネタってそれは下ネタを越えてるんじゃないのか!?」
「大丈夫、ただの実技じゃ」
「下ネタじゃねぇよそれは!」
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