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「元の世界に、帰る方法とかって分かるのか?」
「分かっているなら、ワシはここにはおらぬじゃろ」
まぁ、ごもっとも。
分かっているなら、何年も迷子になっているはずないし。
「なんだ、じゃあ結局はなにも変わらないわけだ。俺とお前が出会った、こと以外はなにも変わらない」
「まぁ、それでも一人より二人のが色々と楽しいのではないかえ? 一人じゃ、……そのうち諦めと暇に食い殺されてしまうぞ」
グランディスは、そう言って、本当に嬉しそうに笑った。
にやけるではない、笑った。
……ああ、コイツ、可愛いな。
元が美人だからか、そうやって笑われるとやはり見惚れるほどに綺麗だ。
「……まぁ、確かに二人ならもしかしたらこの世界から抜け出せる方法とか分かるかもしれないか」
俺は立ち上がって、地面に置いてあるカバンを背負った。
「応とも、ワシもこんなところで野垂れ死ぬつもりは毛頭ないからのう。例え相手が人間でも協力するときは協力するのが幸じゃ」
並んで、グランディスも立ち上がった。
目指すは元の世界。
とりあえずは歩く。
歩いてなにかを見つけないといけない。
二人で歩くしかない。
と、ふと気になることを思い出した。
「なぁ、グランディス様」
「様は別にいらんぞ人間」
お前がつけろと言ったのに、なんというか勝手なやつだ。
「そうかい、じゃあグランディス。お前って、人間じゃなくてなんなんだ?」
人間じゃない人間のなりをした何か。
グランディスは果たして、なんなんだろうか?
「金色の雌竜」
「え?」
振り返る俺を、グランディスは笑いながら見ていた。
笑うというよりは、冷笑だ。
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