一章

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「寄贈品か。もしかしたら『世界の全てを賄う機械』の『試作品(プロトタイプ)』があるかもしれないかも」 『世界の全てを賄う機械』の技術は地球を賄うためだけに使われているのではない。もちろん大半は地球のために使われている。けれど、どんな物でも使い方次第で凶器に成り下がるのと同じで、一般公開されている『世界の全てを賄う機械』の技術を利用した軍事関係者が机上の空論に分類される兵器を造り出している。実際に小型の『電磁加速砲(レールガン)』や質量を持った『立体映像(ホログラム)』、前述した重力の自由操作を可能にする反重力が実現されている。  案の定、寄贈品には軍から展示用に贈られた軍事兵器の試作品が展示してあった。展示用だから今この場で実際に使えるかどうかは分からないけどね。  その中で小型で強力な武器を探した。  一通り見終わり、取り敢えず一番扱いやすい銃型にした。引き金を引くだけでいいし。 「え~っと……スナイパーライフル型荷電粒子砲?」  荷電粒子砲。電荷を帯びた粒子を弾丸にして撃ち出す兵器。  形状はゲームやアニメに出てくる平均的なスナイパーライフルに外部バッテリーを取り付け、小型の加速器を埋め込んで小太りしたような形状だ。寄贈する際に不手際で装填済みの実銃と間違えたのか、ご丁寧に弾丸も装填されている。バッテリーの消費関係で一発までが限度だが。それでも威力は折り紙つき。 「それにしても撃ったときの反動はどうしようか」  荷電粒子砲は簡単に言ってしまえば「超すごい水鉄砲」。消防活動に使う消防車のホースは、訓練された消防士が両手で持ってようやく押さえ込めるほどの威力を持つ。工業で使われる強力なウォータージェットに至っては、機械に植え付けないと運用できないレベル。それを遥かに延長した荷電粒子砲がどれほどの反動を生むかは容易に想像できる。しかもこれは試作品。反動問題は考慮されていない。
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