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最先端の設備と教育を誇る東宝学園は、一般市民からも入学希望者が多く、毎年設置されている特待制度は苛烈な競争率になる。
ここまで見れば、とても素晴らしい学校だろう。だが、どこにでも欠点はあるものだ。
東宝学園は、男子校なのである。さっきも言ったとおり、全寮制。
最先端な設備の他に、広大な敷地も誇っている学園は、山奥に建てられていて、外界からは遠く離れている。
右見ても男、左見ても男、教師も全員男で、おばちゃんすら居ない。するとどうなるか。これはつい先程答えは出ている。落ちるのだ。
男に。
よって学園は80%以上のゲイ&バイの巣窟になり、顔や家柄が良いものには親衛隊なんてのまでつく。人気投票で決まる生徒会はまさにアイドルのような扱いだ。まあ、俺が生徒会長なんだけどな。
そんな事が普通となっている学園で、人気ある美形どもを片っ端から落とした転校生に嫉妬に狂った親衛隊が荒れに荒れた。校内の雰囲気は悪化の一途をたどるし、そのせいで仕事は増えるし。転校生の取り巻きに含まれている役員達は、競争率が激しいからと転校生につきっきり。仕事放棄しやがったから、俺が全部肩代わりしなきゃなんねえし。一体どこにそんな魅力があるのか、俺にはさっぱりだ。あんなのただの黒いマリモじゃねえか。
「生徒の自主性なんぞくそくらえだ」
『まぁ、多いわよね、仕事』
以前漏らした愚痴に、そう応えた鈴音の通う学校は、俺の所の学校をそのまんま女子校にしたような所だ。そこで同じく生徒会長をしている鈴音も、仕事の多さをよく解っている。生徒会長の仕事だけでも多いのに、他の役員の分まで加わるのだ。当然放課後や持ち帰りだけで終わるはずもなく、生徒会役員の特権でもある授業免除を使っても、食事や睡眠だってままならない。一応、10秒めしを食べてるんけどな。今固形物を食べたら、吐くだろう。
だが、この友人にとって重要なのはそこではなかった。
以前、役員が仕事を放棄し始めた頃。何を言おうが怒鳴ろうが聞く耳を持たない役員どもに、何か良い案は無いだろうかと鈴音に意見を求めた時。
一通りの現状を聞いた後、最初にこう言った。
『まずは、性能の良い、できるだけコンパクトなカメラを買いなさい』
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