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「幽霊でねーな」
ガードレールから、砂浜に入ると呟く。
あたし、全然幽霊なんか恐くないよ。
恐い話とか大好きって知ってるくせにさ。
忘れたの?
ピピピピピと電子音が鳴り響く。
幽霊を見るなんかより、気持ちが落ち込む音。
携帯電話の着信音。
「でないで」なんて、女子めいたこと言う自分を想像した。
携帯を開いて、閉じた。メールだったんだ。
さっき、くだらないこと訊くとこだった。
あたしとルリカといるとき、どっちが幸せ?なんて。
「なんかな」
「んっ?」
「アサに変な男がまとわりつくのは、イライラする」
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