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買いかぶりすぎの本郷さんは、それからも私が語彙が少ないからだとか無関心だからだとか色々言ってみても、でも大丈夫だ、とかそんなことばかり返してきては笑うばかり。
「いつか……大事件なくらい人に騙されないように、本当に本当に注意して下さいね」
「笹本さんが騙すの?」
「しませんっ」
「なら大丈夫だ」
根拠のない自信はどこから来るのか……もう私は、そうならないといいなと願うのみだ。
まあまあ、と私を宥めながら、本郷さんは次の十字路を指差した。
「うん。本当に全部大丈夫です。お互いの帰路の分かれ道までの、話の種にしてしまえるくらい大丈夫だ。僕が悪い女に騙される心配も、僕の家のことも」
――あ。
「なら、いいです。――そこの角、本郷さんは右ですよね」
私は、真っ直ぐだ。
だから、
「破れたエコバッグの報告が憂鬱なだけです。あいにく、裁縫が不得手な人間ばかりなんで。残った家族は」
十字路まであと数歩で、私は立ち止まった。
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