1・見上げたいのは――

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忙しいピークはそれからまもなく終了し、店長は、今度は事務所へと走ってしまった。 時々はあるけど、ひとりで任されるレジは緊張する。お腹が痛くなってきてしまう。 いつも平日は出勤しているひとつ年下の男の子も、今日は外せない用があったのか、シフトには入っていないみたいだ。 時刻はもう閉店近くなってきた。 裏の倉庫からは、なにやら楽しそうな声が弾んでいる。 バックヤードの人たちは通常通り出勤したんだけど、病欠やら他にも色々で、こっちの人手がゼロだったんだそうだ。 ちょっと、こういう時は寂しい。 「あ~あ……」 誰もいないからと、軽く肩を動かしてストレッチをしてみた。 「っ!?」 でも、その動作は一瞬で中止となる。 私は慌ててエプロンを整えた。 前髪を少しだけ撫でて、自分で思うイイ感じにする。 時刻はもう閉店五分前。 あの人――私の朝の癒しの対象がメモを急ぎ見て、カゴに商品を放り込み、慌ててレジへ走ってきた。
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