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忙しいピークはそれからまもなく終了し、店長は、今度は事務所へと走ってしまった。
時々はあるけど、ひとりで任されるレジは緊張する。お腹が痛くなってきてしまう。
いつも平日は出勤しているひとつ年下の男の子も、今日は外せない用があったのか、シフトには入っていないみたいだ。
時刻はもう閉店近くなってきた。
裏の倉庫からは、なにやら楽しそうな声が弾んでいる。
バックヤードの人たちは通常通り出勤したんだけど、病欠やら他にも色々で、こっちの人手がゼロだったんだそうだ。
ちょっと、こういう時は寂しい。
「あ~あ……」
誰もいないからと、軽く肩を動かしてストレッチをしてみた。
「っ!?」
でも、その動作は一瞬で中止となる。
私は慌ててエプロンを整えた。
前髪を少しだけ撫でて、自分で思うイイ感じにする。
時刻はもう閉店五分前。
あの人――私の朝の癒しの対象がメモを急ぎ見て、カゴに商品を放り込み、慌ててレジへ走ってきた。
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