第一章『白い何か』

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「適当すぎじゃない」 「うるせぇな。じゃあお前が考えろって」 「そうね」 母親が作り笑顔になり、後ろを振り向く。 「いい?空が青いのはね、お月様が…」 彼女がそう告げようとした時、娘は窓から何処か遠くを見つめていた。 「どうしたの?」 まるで銅像のように固まって動かないために、母親は少し奇妙に思いそう問い質す。 「白いのがいる」 娘は無表情でそう告げた。 「白いの?」 「なんか…すっごく動いてるの」 娘が見ていた先は海の方向だった。 母親は目を凝らし、何やらその白いものを探す。 あった。 確かに蠢いていた。 海のど真ん中に、激しく踊る白い何かの姿があった。 「何これ…」 彼女は眉を潜める。 距離が非常に遠く視界に捉えるのが困難だが、辛うじて人型をしている事はわかった。 白い何か 「どうした?」 父親は運転し前方を見ながらそう問う。 「海面に変な白いのがあって…何か変な動きをしてるの」 「浮きじゃないのか?養殖用に開発した奴…みたいな」 「そう思いたいけど、何か…本当に変な動きなのよ…」 母親は目を凝らしながらそう問う。
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