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軽音楽部に入ったら、ボーカルをやりたい。
そして、歌で自分を表現したい。自分の歌で……人を感動させたい。
…そうこう考えているうちに、
あっというまに降りる駅まで来てしまった。
電車から降りて、
出口へと繋がっている階段を降りていく。
お…私と同じ制服の子がいっぱいいるっ!
みんな可愛いなぁ……。
「きゃっ」
その瞬間、
誰かが後ろから私の腕を掴んで支えた。
「大丈夫?」
「あ…いえっ、平気で……」
「ん?」
…な、な…カッコいい…! 同じ制服! ん? 私とネクタイが同じ色だから…同い年!?
「本当に大丈夫?」
「え? あ…ごめんなさい!」
いつまでも支えられていたことに気付き、私は立ち上がる。
どうやら、階段を踏み外してしまったようだ。
「大丈夫ですっ! ありがとうございました」
「そっか。ケガはない?」
「はい!」
「ならよかった」
名前も知らない、私と同じ学校だということだけはわかるその男の子は、それだけ言うと、去っていってしまった。
「あ…待って…!」
必死に追いかけようとするが、人混みのせいで、彼を見失ってしまった。
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