1-D組

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*** 「ええっと…私のクラスは……」 数多くの名前があるこのクラス分け表から、自分の名前を探す。 これは案外大変だ。 「ん~、どこだー?」 どこを探しても、自分の名前が見当たらない。 「あ」 ふと声がしたほうへと視線を向ける。 …誰の声? どこかで聞いたことあるような…? 「あーっ!」 視線を向けた先には、自分の知り合いがいた。 「さっきぶりだね」 「さっきぶりですっ」 「先程は、本当にありがとうございました!」 「いえいえー」 ものすごい笑顔だ。 ……見とれるほどに。 「あ、君。名前は?」 「如月みつるです!」 「えっと…如月……」 そう言って彼は、私の名前を何回も繰り返していた。 彼の視線の先には、クラス分け表があった。 「お。俺と同じクラスじゃん! よろしくね」 「え?」 「1年D組」 そう言われて、1年D組と書かれている部分に目を向ける。 「あ……」 「でしょ?」 自分でも見つからなかった私の名前が、そこにはしっかりと記されていた。
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