動き始めた悪魔

17/28
前へ
/1976ページ
次へ
「あんさん避けるのうまいわ。だがこれは無理やろ?」 フェルは感心したように笑みを作ると、手先を引いた。 「い、糸だな!」 親指を切られた事と、彼の動きでルークは武器の正体を掴んだ。 そしていつの間にか、それが自分の回りに張り巡らされているのが解った。 「もう遅いわ!」 フェルが叫ぶと同時に、ルークの周りの糸が一斉に襲いかかる。 「正体が解れば対処は可能だ!」 ルークは即座に腰から鉄製半月板を取り出すと、それを両手に嵌めて体を回転させた。 「ぬあ!超撃回転(スクリューブロー)」 ギュルルルルッ! ルークは半月板を先頭に、フェル目掛けて高速回転しながら飛び掛かる。 ブチブチっと鉄製の糸が切り裂かれ、そのままフェルに襲いかかった。 「マジで大した奴や!」 身体を掠めるギリギリで避けた彼は、直ぐに態勢を整えた。 避けられたルークは、そのまま地面を蹴って再び襲いかかる。 「ギース!殺れ!」 フェルが叫ぶと同時に、茂みにいたギースが突然、ルーク目掛けて斬りかかった。 「な、何だと!」 丁度回転している身体の横から斬りかかられたルークは、成す術がない。 ザシュっと鈍い音と共に胴体を斬られた彼は、そのまま地面に転がった。
/1976ページ

最初のコメントを投稿しよう!

437人が本棚に入れています
本棚に追加