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「お、おのれ!」
回転していた為、腹を一回り斬られた形でルークは立ち上がった。
しかし、出血はかなり酷い。
ボタッボタッと腹の回りから血が垂れ落ち、辺りを真っ赤に染めていく。
「悪いなあ、俺は一対一とか関係あらへん。勝てばいいんや」
フェルはバカにする様に笑みを浮かべ、そしてゆっくりと彼に近付いていく。
「く、身体が・・く、くそ!」
ルークは腹を押さえて苦しむと、ギースが後ろから羽交い締めにしてくる。
「あんさん、よくやったわ。自慢していいで」
シュルっと首に糸が巻かれるのが解ったルークは、悔しそうに顔を歪めた。
「く、くそお!」
フェルが勝利を確信した瞬間だった。
「ふ、フェルさん!?」
誰も居ない筈の彼の後ろで、粋なり自分を呼ぶ声が聞こえた。
その声を聴いたフェルは、思わず手を止めて振り返った。
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