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何かにつけてぐずぐずと戸惑って、いったん泥濘にはまると、ぐずぐずと戸惑う性分のために、とんでもないことを仕出かすタイプだ。おおかた、今自殺志願しているのも、そんなタイプゆえに自分の首を絞めてのことだろう。
「ええ、あなたは他殺志願者の方と待ち合わせすることになります。今回の他殺志願者さんは、ちょうどあなたと同年代くらいの女性の方ですから安心ですよ。相手の方は少し明るめの色をしたロングヘアで、手には赤いバラの花を一輪持っていて頂きます。たぶんすぐに見つけられると思いますよ」
「……はあ。あの、でも」
「何でしょう?」
「私は、そこでその人と待ち合わせをして、どうすればいいんでしょうか」
何て鈍いんだ。募集人はアパートのエレベーターに乗り込んで八階のボタンを押しながら、どっと疲れが押し寄せてくるような気持ちに襲われた。
「それはもちろん、彼女にはあなたの自殺の協力をして頂くことになります」
「え、……そんな」
「ちょっと失礼ですが、あなたは自殺志願者ですよね?」
「あ、……はい」
「御理由は何でしょうか」
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